広島高等裁判所 昭和30年(う)544号 判決
よつて本件起訴状をみるに、その公訴事実中に論旨に指摘するような詐欺罪についての前科の記載があることは所論のとおりであるけれども、しかし本件の公訴犯罪事実は尊属殺人及び死体遺棄にかかるものであつて、右の前科は尊属殺人罪の公訴事実として事実上欠くべからざる動機を記載するに当りその過程において示されたものに過ぎないものであることが明らかであり、何等裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞はないものであるから、これを捉えて刑事訴訟法第二五六条第六項違反であるという所論は当らない。論旨は理由がない。
(裁判長判事 柴原八一 判事 尾崎貞治 判事 池田章)